○”アメリカ人”以外の講師は訛りが心配だ?

 (*この話も最初にお断りをしますが、下記の説明は、「ネイティヴの英語講師」の出身国についてはあえて「アメリカ」「イギリス(UK)」「カナダ」「オーストラリア」「ニュージーランド」「アイルランド(共和国)」「南アフリカ(共和国)」を想定し、その中のアメリカ人以外、という話といたします。 英語圏と言われる国は実はたくさんあります。 その国全部を引き合いに出すとこの話の本質が分からなくなってしまう、ということで、他の外国出身の英語講師の是非についてなんら問題提起する意図はありません。*)


 意外とよく聞きます。 どうなんでしょうか。

 
人によります。国ではありません。
                       (上の*を前提としてですよ。)

例えば有名な例からあげると、オーストラリアの人は、day「デイ」を「ダイ」(説明上カタカナで書きましたよ)と言うとか、ニュージーランドの人もなんか知らないけど訛りはどうなんですか?とか(このタイプの漠然とした疑問が実は多いのですが)そういうたぐいの話です。 (ちなみにオセアニアの人の中にもきれいに「デイ」と発音する人も大勢います。)※1  
とりあえずそのお答えとしては、
 「大丈夫です。心配ありません。」  
さて、そういった疑問そのものがおかしいなどと批判するつもりはありません。 誰だってわからないから、疑問だから、聞きたいのですから。 これに限らず疑問はぜひ聞いてください。しかしこうやって聞いてみる人や調べてみたりする方々はいいのです。 注意したいのは、他の話題でも出てきますが、「そんなような気がする」とか「そんなようにみえる」ような理論を、まことしやかに言う人があることです。 鵜呑みにしないで疑問に思ったことは第2の意見も聞いたり、自分であらためて是非考えてみてください。

さて本題に戻りますが、上記のようなことを心配する方々は大体が、アメリカ英語が標準で、それ以外の国の人の訛りがどうか、という疑問の持ち方をすることが一般的です。 日本の英語教育がしばらくの間いろいろな意味でアメリカ英語中心の英語を教材として使ってきたことは事実ですし、いろいろな情報、言葉と関係が深い映画やテレビ、音楽なども、アメリカから多く入ってきたことを考えると、アメリカ英語を標準的な位置へ置くのも必然とも言えますし、そこから、上のような疑問が起こっても不思議ではありません。

しかし、まずその「訛り」がよいか悪いかとは別に、その前に、心配になるほどの訛りかどうかは、国よりむしろ「その人」による、と言う方が実質的です。 確かにお国によってそれぞれ特徴はありますが、
要は「訛りがあるかどうか」ではなくその訛りが「強すぎないかどうか」がポイントなのです。

もっとわかりやすい例をあげましょう。 私たち日本人を考えてみてください。 同じ日本語でも東北弁とか九州弁(ちょっとステレオタイプな例ですね。説明の都合です、どうぞお許しを!)とか、何弁だろうが、そのまましゃべられたら、他地域の人には英語より難しいでしょう?でもその人が、意識的でも無意識でも少しでもアクセントを調整しながらしゃべれば少々方言が混じったって結局大した問題もなく理解できるでしょう?ちなみに筆者は岐阜県大垣市というところにいます。岐阜弁また大垣弁なるものが当然あります。 岐阜弁でしゃべっているつもりでも、「べたべたのまるだしの人」と、「そうでもない人」は岐阜の人間であれば、お互い気がつきませんが、岐阜でない人間が横で聞けば、 「そうでもない人」の言うことは多少の訛りにかかわらずほぼ全部に近いレベルで理解できると思いますが、「べたべたの人」の言うことは下手するとほとんどわからないでしょう。 べたべたの岐阜弁も岐阜生まれの人間には1語1句まで聞き取れるので訛りを感じないのですが、他地域の人であれば、方言を理解する前にまず、聞き取れない、と言うことになります。※2


英語もそれと一緒です。東北弁や九州弁、 ―と言うか実際には、山形弁、博多弁と言うレベルで言うべきですね―、または名古屋弁があるように、アメリカ弁、イギリス弁、ニュージーランド弁、のようなものがあるわけです。そして、アメリカ人にしても、アメリカの中で、実にさまざまなアクセントがあります。 だから一概にアメリカ人を十把一絡げに言うことさえ本来無意味です。アメリカのような広い国の場合は、オーストラリアやアイルランドのアクセントなどは比較にならないような強いアクセントのある地域もあるのです。

そして、人によって事情が違うので保証の限りではありませんが、大方の英会話スクールの講師はお国の訛りがきつくなくて、加えて日本での生活を通しさらにニュートラル化されている人が多いので、普通は(特に上記7カ国の場合は)心配しなくても大丈夫です。

とは言っても訛りだけでなくなんかいろいろあるでしょう。どうなの?」 と疑問に思う方もいらっしゃいます。 ではこれはどうですか? 逆のパターンで、外国人に日本語を教えるのに、「この先生徳島(例えばですよ)出身だけど、どう?」とはたぶん思わないでしょう(説明ナシで決めつけましたが)。 それと同じです。

それはよくわかるんだけど、それにしてもなんだかんだ言っても、やっぱアメリカ英語で慣れちゃったほうが将来いろいろといいんじゃないの、と思う人もあるようです。 気持ちはわからないでもありませんが、(と言うのも私自身昔は何となくそう思ってましたから)世界へ出てみると、私たち日本人の印象と裏腹に、アメリカ英語も、「ただのアメリカ訛り」という扱いですし、必ずしもメジャーではありませんので、どのアクセントに慣れた方がいいのかは、学習している段階ではわかりません。

こんなことなんでエラそうに言うか、説明責任もあると思いますが、実は私自身の経験なんです。私は、かつてはよくいる英語少年で、おまけに典型的なアメリカかぶれの人間だったので、英語も(昔は今のように英会話スクールなんかありませんでしたので、独自のトレーニングで発音矯正して)アメリカ人のようなしゃべりかたを心がけていたのですが、家内(ニュージーランド人)と知り合ってから根本的に英語世界が変わり、今では、キーウィーのようにしゃべるのでかつてのアメリカ風英語発音は影も形もないほどです。 アクセントに限って言えばそういうことですが、英語そのものの実力とは関係なく、しゃべるのはニュージーランド風ですが、聞くほうは、また実際聞かせる、という点でも、相手がどこ出身だろうが、全く関係なくむしろ以前よりよくなったのです。 そう、アクセントがどうだこうだ、と言うことは、英語の根本的な(どの訛りだろうが共通部分の英語と言う意味で)発音( ―外国語学習として学ぶ― 子音とか母音というレベルの話)には影響はない、と言えるのです。

繰り返し念を押しますが、このように説明できるのはあくまで上述7カ国の間の場合です。 その他の英語圏も含めて考える場合は、この通りの説明は簡単に当てはまりませんのでご了承下さい。


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※1 ちなみに、"day"-「デイ」「ダイ」-の話ですが、両方とも頭の中では、同じ発音記号の基に(まあ強いて言えば 【デイ】と)言っているのが、口からは違う風に発音されているのです。「ダイ」と聞こえても本人は「デイ」と言っているのです。 関東地方から東北地方の一部の方が「さしすせそ」と本人ははっきり言いながら「さすせそ」と出てくるのとにた似た世界でしょう。
(?あれ?むしろ「はひふへほ」が「はふへほ」)
になるんですかね?

※2 岐阜大垣名古屋あたりの方、確かに岐阜弁や名古屋弁があるのははわかるけど、そんな聞き取れんほどの訛りかたやにゃーで、と思った人いるでしょうから説明しますよ。「とれーこといっとったらかんで んーなもんわ ちょー、ママ、れーこーちょ!」なんてとなりの人が言ってもたぶん何気なく標準語のように聞こえてるでしょうが他の地域の人には「てらっとらんからんがらんちょーれーとーれー」というおまじないに聞こえてるのですよ。※
 
英語学習の迷信 2
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